【分析手法】株価分析の基礎的手法、移動平均線とは?

お金

株式運用やFX、CFD取引、仮想通貨など、個人で行える投資の幅は多岐に渡っています。

さらに、「どれに投資しようか?」と考えるとその選択肢はさらに多種多様となり、

「一体どれを選んだらいいんだ…」

と選別できなくなることはありませんか?

また、何となく銘柄を選んで投資してみたが、そのあと株価が下落して損をしてしまった…

そんな経験をされていた方も少なくはないと思います。

企業業績、経済環境、指標…投資対象の選別にもいろいろな情報があり、何を信用したらいいかわからないということもあります。

私自身、7年ほど株式運用を行ってきましたが、上記はどれも経験したことがあります。

ですが、どの投資方法にも共通していることがあります。

それは過去の値動きから今後の値動きを予測することです。

これは、チャートを使った「テクニカル分析」にもあたります。

そのテクニカル分析でも、特に汎用性が高く、分析しやすい「移動平均線」を使った分析について解説していきます。

なお、移動平均線の分析について、「移動平均線の新しい読み方」(かんき出版)の内容を参考にしております。


移動平均線の新しい読み方 6つのポジションで相場を見通す [ 野坂晃一 ]

気になった方は是非、こちらの書籍も読んでいただき理解を深めてみてください。

移動平均線とは?

「移動平均」とは、ある一定期間の平均値を期間をずらしながら算出する手法です。

この移動平均の値を線でつなぎ合わせ、折れ線グラフで可視化したものが、「移動平均線」です。

一言でまとめてしまうと簡単ですが、なかなかイメージがつきにくいので、まず、平均値からおさらいしてみましょう。

平均値はよく耳にすることはあるのではないでしょうか?

特に会社でデータを分析する際には、一番最初にExcelで集計するという方も多いかと思います。

この平均値とは、様々な値の数値を平準化した代表値と呼ぶことができます。

例えば、テストで50点、70点、80点の生徒の平均値を出す場合、約67点となります。

そして、この平均値を算出したことにより、67点を基準に低い場合は成績が悪い、逆に平均値よりも高い点数の場合は成績が高い…といったような「基準」として活用されることが多いです。

では、「移動平均」とはどのような考え方となるのでしょうか?

先ほどのテストの例では、1回のみでの平均値の算出でした。

ですが、1年間に毎月テストを行った場合は12回の平均値が算出されます。

この時、このテストの結果から受講者の成績が上昇傾向にあるのか?それとも下降傾向にあるのか分析しようとしても、毎月の平均値に上下に変動がある場合、なかなか判断しづらくもあります。

では、下図のように6か月の期間で順に平均値を算出し、平準化してみます。

このように、6か月間という期間を定め、期間をずらしながら平均値を算出していきます。

この時の平均値が「移動平均」となります。

そして、この移動平均の値を可視化してみると、下図のような形となります。

こうしてみることで、12回分の平均値を比較するよりも、点数の傾向を見やすくなります。この移動平均の値を折れ線グラフで可視化したものが「移動平均線」となります。

また、移動平均線の傾きからテスト点数は下落傾向にあることも読み取れます。

株式や為替の値動きを分析する場合にも、この「移動平均線」を使うことが多々あります。

こうした移動平均線を使った投資分析や、そのほかの分析法も総称して「テクニカル分析」とも呼ばれています。

なぜ移動平均線を使った分析が良いのか?

テクニカル分析には、移動平均線以外にも様々な分析手法があります。

例えば、RSIやボリンジャーバンド、ストキャスティクス…と分析法を挙げるとキリがないくらいです。

では、数多くある分析手法のうち、「移動平均線」を使って分析を行うメリットは何でしょうか?

主にあげられるメリットととして、3点あります。

比較的株価分析を行いやすい。

テクニカル分析には数多くの分析法がありますが、方法によっては分析にいろいろな指標を見なければならず、分析することが難しい場合もあります。

例えば、一目均衡表の場合であれば、株価と雲の位置関係、先行指標の位置関係、遅行線との位置関係…などなど、分析の視点が様々あります。

その点、移動平均線を使った場合の分析では、

・移動平均線同士の位置関係

・移動平均線と株価の関係

この2つの関係性から株価のトレンド(傾向)をつかむため、比較的容易に分析することができます。

特に、「これから投資を始めてみよう。」、「何となく株価が良さそう、これから上がりそうで銘柄選別している。」といった、経験が浅めの方は移動平均線を使ってその株価のトレンドを把握することを銘柄選別の判断基準に加えてみてください。

これまでどう投資判断したらいいかわからないという状況から、一歩踏み込んだ分析、判断ができるようになります。

株価のトレンド(傾向)をつかみやすい。

移動平均線での分析メリットとして、株価のトレンドをつかみやすいという点が挙げられます。

例えば、下図の2020年10月~2021年3月付近までの日経平均株価 日足チャートを参考にしてみましょう。

出典:GMOクリック証券

この日足チャートでは、

赤線:5日移動平均線

緑線:25日移動平均線

となっています。

まず、1点目のトレンドとして、2020年10月30日を底値に株価が上昇し、11月頭には5日移動平均線(赤線)が25日移動平均線(緑線)を下からうわ抜けており、上昇トレンド入り(ゴールデンクロス)を形成しています。

この移動平均線のクロスした日から日経平均株価は上昇傾向にあります。

また、2020年12月20日前後から日経平均株価の値が25日移動平均線に近づいています。

ですが、そこから2021年2月頭までの間は25日移動平均線付近に株価が近づいた場合、株価は反発してまた上昇しています。

ここから、株価と25日移動平均線との関係として、25日移動平均線が日経平均株価の下値抵抗線として働いていることが推察されます。

上図は移動平均線同士、また移動平均線と株価との位置関係から読み取れる株価トレンドの一例ですが、チャート上を読み解くことである程度の傾向を把握することができます。

また、今回移動平均線は「5日移動平均線」と「25日移動平均線」の2本を使っています。

2本使う場合、3本使う場合とありますが、個人的には2本の移動平均線を使って分析することをオススメします。

3本での分析の方が確かに、より詳細に傾向分析できます。

ですが、その分トレンド予測のパターンが増えることにもつながるため投資タイミングの判断がしづらくなることにもつながります。

移動平均線を使って、株価トレンドを分析する場合はまずは2本の移動平均線で分析し、慣れてきたら3本で見てみる…といったやり方をしてみてもいいと思います。

なお、日足・週足・月足チャートで移動平均の期間はそれぞれ異なります。

それぞれのチャートで使用される一般的な移動平均線は下表のとおりです。

チャート区分一般的に利用される移動平均線
日足5日、25日、75日移動平均線
週足13週、26週、52週移動平均線

多くの証券会社のアプリやツールでも活用可能。

移動平均線はテクニカル分析の中でも、特に主要な分析方法でもあります。

それゆえに、各証券会社や投資関係のサイト、アプリなどで使われているチャートには大体この移動平均線が使われています。

代表的な例だと、Yahooファイナンスでのチャートでも移動平均線が使われています。

一方で、ほかの分析手法だとアプリやサイトで見るチャートでは使えない場合もあります。

私もアプリでは分析できず、PC版のチャートでは分析できたという経験もあります。

投資では、状況に応じてタイミング勝負の時もあります。

そうした時に分析したい分析手法が手元のチャートでできないとなると、困りますよね…

多くの場合は移動平均線が使われていることが多いですが、もし使用しているアプリやサイトで特定の分析手法ができない場合は、移動平均線を使った分析から銘柄選別をすることも考慮しておくとよいでしょう。

移動平均線を使った分析での注意点

ここまで、移動平均線を使って株価トレンドを読むこと、そしてメリットについてお話しました。

逆に、移動平均線を使った分析での注意点は何でしょうか?

ここでは2点お伝えします。

移動平均線のトレンド分析には遅行性がある。

移動平均は「一定期間の平均値を期間をずらしながら算出する」ため、どうしても遅行性が出てしまいます。

例えば、先ほどの日経平均株価の日足チャートでも、5日移動平均線とが25日移動平均線を下から上抜けていますが、実際の株価はすでに上昇している状況にあります。

そのため移動平均線を使って株価トレンドを分析した時、実際の株価はすでにそのトレンド入りしている状況にあるため、底値や上値を狙いづらいです。

「ダマシ」が起こる可能性がある。

投資には、「絶対上がる・下がる」ということは決してありません。予想はできますが確実に上がること、下がることを的中させることはできないのです。

これはファンダメンタルズ分析でも、テクニカル分析でも同様であり、移動平均線を使った分析においても同じです。

その中でも、移動平均線のクロス(ゴールデンクロス・デッドクロス)にてトレンドを判断するときには「ダマシ」が起こる可能性があります。

このダマシとは、トレンドの分岐点となる売買シグナルが発生しても、株価はその逆方向に動いてしまうことです。

私の経験上では、特にFXやデイトレードでの短期売買を行う際に、このダマシは発生しやすい印象です。

相場には「絶対」という言葉はありませんが、こうした「ダマシ」が発生することもありうるため、売買シグナルが出たが、なかなか株価が予想した通りに動かない場合は、いったん現金化して様子を見るなどした方が無難です。

まとめ

今回は移動平均線を使ったテクニカル分析について解説してきました。

移動平均線はチャートではよく見る指標であるがゆえに、重要視されないこともあったりします。

ですが、移動平均線でのテクニカル分析は

・比較的容易に行える。

・株式だけでなく、為替など汎用性が高い。

などなど、様々な運用方法に役立つため投資をこれから始める方にとっては、身につけておきたいスキルでもあります。

また、移動平均線のテクニカル分析にはまだまだ多くの分析方法があります。

今後も移動平均線を主に分析法について解説していきますので、ご一読いただけると嬉しいです。

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